災害現場における産前産後の対応

ここ数年、災害現場における医療現場の在り方が変わりつつあります。
 それは、やはり阪神・淡路大震災、東日本大震災といった大災害が起こってからの事。震災当時、様々な分野のライフラインが止まってしまいました。人々が途方に暮れてしまった事を反省点に、医療、福祉の現場でその問題を後世に伝え、広めていこうという考え方が生まれてきたんですね。
 そこで、若手の看護師や助産師を育てる上でのキャリアアップとして、こういった災害に対する心構えなどについての講習も増えてきているようです。

 例えば、災害現場での出産についての心構えの持ち方。
 出産中に震災に巻き込まれたという方は少なくなく、地震で揺れるなか産んだという方も多くいらっしゃいました。産んだ後の問題点としては、やはり何と言っても衛生面とミルク。震災のショックでおっぱいが出なくなってしまったという方は多く、ミルクを使ったといいます。しかし、このミルクというのもお湯は必要ですし、哺乳瓶を清潔に保つ為にも熱湯などによる煮沸消毒が必要になるのです。その結果、当時現場では紙コップにミルクとお湯を入れて赤ちゃんに飲ませるという方法を取った方も多いといいます。
 また、赤ちゃんにとって必要なものとしてはオムツも一緒。ここで再び注目されたのが布オムツでした。洗えば使える布オムツは経済的。そして震災中に不足する紙オムツに歯止めをかける方法としてとっても重宝されたのです。
 このセミナーでは、こういった生活面でのアドバイスの方法の他、実際災害時にはどういった事が起こるのか、被災の体験が母親や乳幼児、お腹にいた胎児にどういった影響を与えてしまうのかを考えたり、災害発生から避難後に至るまで助産師が出来る最善について話し合ったりするのです。
 被災の心労は、妊娠中の母親には流産などの影響を与える事がありますし、PTSD 心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic stress disorder)として、子供、大人関わらずトラウマとして大きな恐怖心を与えてしまうのです。この症状に陥れば、不眠やうつ病、パニック症状など精神的症状を与えます。大人でさえ陥れば重いものになるのですから、これが子供にかかればその症状はもっと深刻なものとなります。
 そこで、こういった災害の後述的症状を少しでも軽くする為にも、助産師ら医療関係者達の災害に対する心構え、知識、技術を高める必要があるのだといえるのでしょう。

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